大阪といえば、たこ焼きに串カツ、そして鉄板で香ばしく炒めたホルモンというイメージがあるでしょう。じゃりン子チエの世界を体感できるホルモン焼き屋さんは、大阪でももう多くは残っていません。難波のど真ん中で、思わずタイムスリップできるのがこの「マルフク」です。

千日前の路地裏に広がる異空間

千日前のアーケードを道頓堀方面に進んですぐ。ラウンドワンやジャンカラと若いナニワっ子が集まる通りのすぐ横に、ひっそりと佇むお店。言葉を選ばずに表現すると「屋台に毛が生えた」ような外観で、お世辞にもキレイとは言えないマルフクには、昼夜問わずいつも沢山の人が集まっている。

人が集まるお店には必ず理由がある。
かつて牛丼の吉野家が「安い」「うまい」「早い」というキャッチフレーズで人気を博したが、これにならってマルフクの強みを表現するならば「安い」「うまい」「懐かしい」になるだろうか。

まさに圧倒的なコストパフォーマンス

なにしろビール大瓶、ホルモン2皿のセットがいつでも950円なのだ。ホルモンの組み合わせも自由で、豚足なんかも選べてしまう。ひとりでパっと飲みたいときはこのセットだけでもちろん十分。コストパフォーマンスは圧倒的なのである。

大阪の「濃い部分」が凝縮されたお店

甘辛く味付けして、鉄板でジャッと焼き上げたホルモン。言わずもがなでビールにマッチする。ホルモンとレバーは180円。いちばん高いバラとハラミでも300円。カウンターで一服しながら物思いにふけるサラリーマン、親子くらいの年の差妙によそよそしい怪しげなカップル、いかにもスケーターっぽいお兄ちゃん4人組…値段を気にせずに来れるからか、お客さんの層もバリエーションに富んでいる。

店内にあふれる、そこはかとない懐かしさ

そんな店内の遅い時間を仕切るのは、身の丈150センチほどのちいさなおばあちゃん。ひとりで切り盛りするのは大変じゃないかと思うし、実際いつも大変そう。

おばあちゃんの接客も、唯一無二。

勝手のわからない若者グループには「1人2皿は必ず頼んでくださいよ!」と叫び、注文が殺到したら「一気に聞けないからちょっと待ってて!」と遮り、それでも手際よくホルモンを焼き上げていくおばあちゃん。

ホルモンも割とオンリーワンの味わいではあるが、昭和っぽい雰囲気の店内とおばあちゃんの醸し出す空気感がとにかく唯一無二。はじめてだけど懐かしい、一度訪れたら絶対に忘れられないお店なのだ。

酔っぱらってる状態でお店に来て、やれホルモンが遅いだのおばちゃんビールまだだのやいやい言っていたさっきのスケーター軍団も、おばあちゃんの空気感にやられてしまったのか、「おばあちゃんありがとう、めちゃ美味しかったわ!」とか言いながらテーブルを片付けて帰っていった。

そんな彼らを見てニヤッとしつつ、壁に貼ってある但し書きを見てフフッと笑う。
いつの間にか一日の疲れも消えていく、そんな酒場だからこそマルフクに人が絶えないんだろうな、と思うのだ。